テキスト ボックス: 受信機用 RF AMPの試作
テキスト ボックス: 上記回路図と写真でお解かりの通り簡単な回路ですが期待通りの性能が得られました。
現在、簡単に入手できるデバイスを使用したRF AMPの決定版が出来たと思っています。
Gainは理論値に近い9dB(理論値は9.54dB)、Input IP3は1.9MHzと3.5MHzが若干悪くなりますがほぼ期待通りの値です、NFは1.5dB以下でチャンピオンデータは1.3dBでした、NFの測定は測定系が受ける外来ノイズレベルの変動によって測定する度に結果が若干変動するのが泣き所です(シールドルームが欲しいよ〜)
フィードバックトランスに使用するコアー材によってIP3が大きく変わります、体積が大きくてμの高いコアーの方が1.9MHzのような低い周波数では有利ですがまさか送信アンプの終段に使用するような馬鹿でかいコアーを使用するわけにもいかないので、色々なコアー材を試しましたが、FB801を2個使用したメガネコアーがベストチョイスと結論しました。このアンプは他の人にも試作してもらいましたが、皆さんのデータがほぼ一致しているので再現性は抜群です。
テキスト ボックス: 1.9MHz〜28MHzまでのIP3のデータは下記のスペアナ写真からご覧下さい
     
テキスト ボックス: 1.9MHz Input IP3 +33.6dBm
3.5MHz Input IP3 +36.5dBm
      
テキスト ボックス: 7MHz Input IP3 +39.25dBm
7MHz Input IP3 +39.25dBm
7MHz Input IP3 +39.25dBm
7MHz Input IP3 +39.25dBm
7MHz Input IP3 +39.25dBm
7MHz Input IP3 +39.25dBm
7MHz Input IP3 +39.25dBm
7MHz Input IP3 +39.25dBm
7MHz Input IP3 +39.25dBm
7MHz Input IP3 +39.25dBm
7MHz Input IP3 +39.25dBm
7MHz Input IP3 +39.25dBm
7MHz Input IP3 +39.25dBm
テキスト ボックス: 14MHz Input IP3 +38.5dBm
       
21MHz Input IP3 +39.3dBm 28MHz Input IP3 +38.45dBm
テキスト ボックス: 上記の様な結果で、ハム用受信機のフロントエンドとして十分に使えるアンプが出来ました。
欲を言えば、1.9MHzのIP3をもう少し良くしたいところです、どなたか「こんなコアーを使ったら
もっと良くなったぞ」という実験結果をお持ちの方がありましたら教えてください。
テキスト ボックス: NF TRANSを変えてみました。 2006/10/20
このRF AMPを使っているTOP BANDのDXerから1.9MHzのIIP3をもう少し良くしたいとリクエストがありましたので、大きいコアでやってみようと言うことで、FB801 x2のメガネコア2階建てでトランスを作ってみました。狙い通り1.9MHzのIIP3は+35.85dBm , 3.5MHzでは+38.75dBmとなりましたが基板のサイズに比べてコアがデカスギテ見映えがよくありません。ノートンアンプのトランスは1:n:mでゲインが決まりますから、コイルの巻線比を2:2n:2mにすれば同じコアを使用してもインダクタンスが増えるから低い周波数でもIIP3が良くなるだろうということで実験開始です。
テキスト ボックス: 結果は下記に示すデータから読めるとおりアタリ!です。そういえば、昔読んだ本に低い周波数で使う場合は
巻線数を2倍にする方が良いと書いてあったのを思い出しました。

リターンロスは下図に示すとおり、Input, Output共に素直な特性を示しています。
テキスト ボックス: Input リターンロス
テキスト ボックス: Output リターンロス
各バンドのIIP3特性
テキスト ボックス: 1.9MHz IIP3 +36.35dBm
FB801x4 2階建てコアの場合 +35.85dBm
テキスト ボックス: 7MHz IIP3 +39.15dBm
FB801x4 2階建てコアの場合 +39.85dBm
テキスト ボックス: 14MHz IIP3 +38.95dBm
FB801x4 2階建てコアの場合 +39.3dBm
テキスト ボックス: 21MHz IIP3 +38.95dBm
FB801x4 2階建てコアの場合 +39.95dBm
テキスト ボックス: 上記のように、2階建てコアにするメリットはあまりありません。
14MHz以上で若干ゲインが落ちますが実用上問題ない範囲です。
1.9MHzのIIP3もこの位なら我慢できるでしょう、3.5〜28MHzのIIP3は気持ち悪いくらいそろっています。

2SC5337はCATV用のアンプとして開発されたデバイスだけあって非常に低歪みでNFが良いのが特徴です、
データシートを見るとIP3の最良点はIc=80〜90mAにあるようですが、NFの最良点はIc=30〜40mAです。
IIP3とNFのバランスを考えるとIc=45mAの本回路定数が一番良いかなと思います。

Ic=90mAで実験した方の報告ではIIP3は+43dBmを超えたそうですが、基板をアルミブロックに貼り付けたりして放熱が大変だったようです、HAM用受信機のフロントエンドとしてはIIP3+38dBmを超えれば十分でしょう。

コアの材質と形状(体積)による磁気飽和のデータ(周波数を含めて)がどの文献を探しても見当たりません、
1.9MHzのIIP3の劣化がインダクタンスによるものか、磁気飽和によるものかがはっきりしません。
RL特性は800kHz位まで良好なのでインダクタンス不足とは思えないのです。
高い周波数に比べて低い周波数では磁気飽和が低いレベルから始まるだろうとは見当がつきますが、
FB801x2位の体積のあるコアーが同調回路持を持たないNFTやブロードバンドのトランスたかだか+10dBm
未満の2信号レベルで飽和してしまうのか否かはわからないところです。

このような実験をしていると面白くてなかなか先に進まなくて、肝心のトランシーバーの製作が遅れそうなので
RF AMPの実験はこれで打ち止めとします。

Caution  2006/Dec/10

最近、このアンプを実験された方から発振してTRに大電流が流れた為TRがお釈迦になったとのレポートがありましたが原因はフィードバックトランスをTRにかぶさる様な配置にしたためと判明しました。
フィードバックトランスは基板写真にあるような配置にしてシリコンゴム系の接着材で固定してください。
又、出力をオープンした状態でSG等で信号を入力すると発信する場合がありますので実験する際は出力は必ず
スペアナの入力ポートに接続するか、50Ωでターミネートしてください。
裸ゲインの多いアンプに強力なNFをかけたアンプですから、部品配置に対する注意が必要です。

NOTE

このアンプは受信機用フロントエンドとして開発しましたが、ポストIFアンプやポストMIXアンプ
としても大入力に耐えられますので用途は沢山あります、Gsan-200TRXにも使っています。