受信機用 RF AMPの試作
R5531が完成して1年以上が経過して、そろそろ次期トランシーバーの製作に掛かろうと考えています。

受信部で見直す処があるとすればRF AMPかなと思います、R5531のRF AMPは2N5109シングルのノートンアンプでGain 10dB, Input IP3は7MHzで+35dBm NFは約2dBでした、今回のRF AMPはIIP3 +40dBm、NFは1.5を確保したいと国産デバイスの資料を読み返したところ、2SC5337が良さそうなのでとりあえずシングルで実験したところ、NFはOKなのですがIP3が+35dBm位でもう一息です、其れならばパラレルアンプではドーダとばかり試作したのが今回のアンプです。
上記回路図と写真でお解かりの通り簡単な回路ですが期待通りの性能が得られました。
現在、簡単に入手できるデバイスを使用したRF AMPの決定版が出来たと思っています。
Gainは理論値に近い9dB(理論値は9.54dB)、Input IP3は1.9MHzと3.5MHzが若干悪くなりますがほぼ期待通りの値です、NFは1.5dB以下でチャンピオンデータは1.3dBでした、NFの測定は測定系が受ける外来ノイズレベルの変動によって測定する度に結果が若干変動するのが泣き所です(シールドルームが欲しいよ〜)
フィードバックトランスに使用するコアー材によってIP3が大きく変わります、体積が大きくてμの高いコアーの方が1.9MHzのような低い周波数では有利ですがまさか送信アンプの終段に使用するような馬鹿でかいコアーを使用するわけにもいかないので、色々なコアー材を試しましたが、FB801を2個使用したメガネコアーがベストチョイスと結論しました。
このアンプは他の人にも試作してもらいましたが、皆さんのデータがほぼ一致していますので再現性は抜群です。
1.9MHz〜28MHzまでのIP3のデータは下記のスペアナ写真からご覧下さい

1.9MHz Input IP3 +33.6dBm

3.5MHz Input IP3 +36.5dBm

7MHz Input IP3 +39.25dBm

14MHz Input IP3 +38.5dBm

21MHz Input IP3 +39.3dBm

28MHz Input IP3 +38.45dBm

上記のような結果で、アマチュア用受信機のフロントエンドとして充分に使えるアンプが出来ました。
欲を言えば、1.9MHzのIP3をもう少し良くしたいところです、どなたか「こんなコアーを使ったらもっと良くなったぞ」という実験結果をお持ちの方がありましたら教えてください。
NF TRANSを替えてみました2006/10/20

このRF AMPを使っているTOP BANDのDXerから1.9MHzのIIP3をもう少し良くしたいとリクエストがありましたので、大きいコアでやってみようと言うことで、FB801 x2のメガネコア2階建てでトランスを作ってみました。狙い通り1.9MHzのIIP3は+35.85dBm , 3.5MHzでは+38.75dBmとなりましたが基板のサイズに比べてコアがデカスギテ見映えがよくありません。ノートンアンプのトランスは1:n:mでゲインが決まりますから、コイルの巻線比を2:2n:2mにすれば同じコアを使用してもインダクタンスが増えるから低い周波数でもIIP3が良くなるだろうということで実験開始です。

結果は下記に示すデータから読める通りアタリ!です。そういえば、昔読んだ本に低い周波数で使う場合は巻線数を2倍にする方が良いと書いてあったのを思い出しました。

リターンロス特性

リターンロスは下図に示すとおり、Input, Output共に素直な特性を示しています。

各バンドのIIP3特性

1.9MHz IIP3 +36.35dBm

FB801 x4 2階建てコアの場合、+35.85dBm 

3.5MHz IIP3 +38.75dBm

FB801 x4 2階建てコアの場合 +38.75dBm

7MHz IIP3 +39.15dBm

FB801 x 4 2階建てコアの場合、+39.85dBm

14MHz IIP3 +38.95dBm

FB801 x 4 2階建てコアの場合、+39.3dBm

Input リターンロス

Output リターンロス

21MHz IIP3 +38.95dBm

FB801 x4 2階建てコアの場合、 +39.95dBm

28MHz IIP3 +38.45dBm

FB801 x 4 2階建てコアの場合、 +38.6dBm

上記のように、14MHz以上で若干ゲインが落ちますが実用上問題ない範囲です。
1.9MHzのIIP3もこの位なら我慢できるでしょう、3.5〜28MHzのIIP3は気持ち悪いくらい揃っています。

2SC5337はCATV用のアンプとして開発されたTRだけあって非常に低歪でNFが良いのが特徴です、データシートを見るとIP3の最良点はIc=80〜90mAにあるようですが、NFの最良点はIc=30〜40mAです。
IIP3とNFのバランスを考えるとIc=45mAの本回路定数が一番よいかなと思います。

Ic=90mAで実験された方の報告ではIIP3は+43dBmを超えたそうですが、基板をアルミブロックに貼り付けたりして放熱が大変だったようです。HAM用受信機のフロントエンドとしてはIIP3 +38dBmを超えれば充分でしょう。

コアの材質と形状(体積)に依る磁気飽和のデータ(周波数を含めて)がどの文献をを探しても見当たりません、1.9MHzのIIP3の劣化がインダクタンスに依る物か、磁気飽和に依るのかがはっきりしません、RL特性は800KHz位まで良好なのでインダクタンス不足とは思えないのです。高い周波数に比べて低い周波数では磁気飽和が低いレベルから始まるだろうとは見当が付きますが、FB801x 2位の体積のあるコアが同調回路を持たないNFTやブロードバンドのトランスで、たかだか+10dBm未満の2信号レベルで飽和するのか否かは解らないところです。

このような実験をしていると面白くて、なかなか先に進まないので肝心のトランシーバの完成が遅れそうです、
従ってRF AMPの実験は”これにて打ち止め”とします。

Caution ! 2006/Dec/10

最近、このアンプを実験された方から発振してTrに大電流が流れた為Trがお釈迦になったとのレポートがありましたが原因はフィードバックトランスをTrにかぶさるような配置にしたためと判明しました。
フィードバックトランスは基板写真にあるような配置にして、シリコンゴム系の接着剤で固定してください。
又、出力をオープンした状態でSG 等で信号を入力すると発振する場合がありますので実験する際は出力は必ずスペアナの50Ω入力に接続するか、50Ωでターミネートして下さい。
裸ゲインの多いアンプに強力なNFをかけたアンプですから、部品配置に対する注意が必要です。